2011年11月アーカイブ
2011年11月30日
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iTohenにて第210回目となる今展では、関西を拠点に活動を続ける山内庸資(やまうちようすけ)氏をご紹介致します。
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丘の上にある家や、湖畔に佇む羊。水中から覗いたような花々。
よくある風景のようで、実はそうでもない。
山内さんが取り挙げるモチーフはどれもが見たことがあるはずですが、
巧妙なマジックを見せられているようなもので、
不思議と見慣れない風景にすりかわってしまったもののように感じてしまいます。
彼の一つの特徴としてとれる画面の仕上げ方が面白い。
初めて作品を拝見した時は「え!? まだ塗りたてですか・・?」と言うぐらいに
画面がツヤツヤとしていました。
当然、乾いているのですが、"ダンマル・ペインティング・オイル"を中心に
制作をしていると言います。
一見、水彩画と思いきや、その勢いのある筆致は油彩で表現され、
"クリスタル・バニス"という液体で、密封保存されたように画面を
覆いつくされています。
制作の中で意外にも<下地>にほとんどの時間を注ぎ込んでいるそうです。
何層も重ねては磨き、その繰り返しを経て一気に描き切ります。
発色や、筆致の面白さを優先したゆえに行き着いた描画法が、
山内さんの一種、独特な空気感を演出してるのでしょう。
通常、油彩画と言うものは、絵具の性質を考えても"塗り重ねる"のが
妥当な方法、いわゆる伝統的な描画法ですが、
山内さんの作業は全く逆で、そこに静かな反骨精神のようなものも感じてしまいます。
今展は油彩を中心に、今まで発表に積極的ではなかったドローイングの展示も
合わせてご披露いたします。
山内さんの中で何かが変わろうとしているポイントなのかも知れません。
是非、この機会にご覧頂けますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
SKKY | iTohen 鯵坂兼充